「新潟漆器」は「変り塗りの宝庫」

漆器は新潟県の代表的な工芸品です。漆器は木や竹、紙、皮、合成樹脂などの素地に漆を塗り重ねて作る東洋独特の器物で、日本をはじめ、中国やタイ、ミャンマーといった国で生産されています。新潟県の漆器は、江戸時代初期に秋田の能代から「春慶塗」(しゅんけいぬり)が伝えられたことが始まりで、さまざまな種類があり、多種多様な風合いを楽しめることができます。中でも、「花塗」「石目塗(いしめぬり)」「錦塗」「磯草塗」「竹塗」の5技法は、2003年に経済産業大臣から国の伝統的工芸品の指定を受けています。

  • 花塗:砥ぎ・艶上げ・胴摺・磨きの工程を行わず、模様や文様をつけない、シンプルな仕上がりが美しい技法です。塗立とも呼ばれています。
  • 石目塗:漆の表面に炭粉や乾漆粉などを蒔き、ザラザラとした石の風合いを表現した技法が用いられており、傷がつきにくいです。底面や盆などに多用され、石目塗に蒔絵を施したものを「萬代蒔絵」と呼びます。竹塗と組み合わせるとさらに渋さが増し、より魅力が引き立ちます。
  • 錦塗:青森県弘前市を主産地とする「津軽塗(馬鹿塗とも)」に似た技法です。タンポ(麻紐を束ねた道具)で漆を叩き塗り、型置きした後、色付きの漆を重ねて錫粉(すずふん)をまき、木地呂漆(きじろうるし。油分の無い、透けた漆)を塗り、研ぎ出すことで不規則な文様が浮き出ます。
  • 磯草塗: 江戸中期に弥彦の渡辺縫之守が考案した技法で、工程は錦塗とほぼ同じく、タンポを回転させ絞漆(しぼうるし)を型置します。黒、黄色、赤、緑の漆を塗り重ね、表面を研ぐことで、波間に揺れる海藻のような模様が浮かび上がります。
  • 竹塗:明治時代に生まれた、漆器を竹に見立てる、新潟漆器の代表的な技法です。漆に砥粉を混ぜた錆や真菰粉(まこもこ)で、竹の節や筋、煤けた雰囲気などを表現します。色漆で竹の肌や模様をつけるという、他の産地では見られない塗り方が施されており、仕上がりは本物の竹と見間違えるほどです。

新潟漆器は他にも、虫喰塗、呂色塗、青貝塗、紫檀塗、根来塗といった技法が伝わっており、「変り塗りの宝庫」といわれています。

「新潟漆器」の歴史と魅力

新潟県で漆器文化が花開いたのは、新潟港が江戸時代に蝦夷地や東北・北陸地方と大坂・兵庫などを西廻り航路で結んだ北前船の寄港地であり、古くから人と物資の集散地として栄えていたからです。そのため、新潟県には全国各地のあらゆる塗りの技法が伝わり、独自の発展を遂げたと考えられています。

現在の新潟県に春慶塗が伝わったのは、約400年前のことです。1638年には早くも椀店(漆器の専売地域)が定められ、保護政策がとられたそうです。やがて蒔絵の技法も伝えられ、磯草塗や金磨塗といった新潟漆器ならではの技法が生み出されます。当時の新潟漆器は座卓や膳・盆などの日用品が中心で、江戸時代末期には江戸や大阪はもちろん、販路は北海道にまで広がり、新潟は日本有数の漆器産地として名を馳せることになったのです。

その後、明治には「竹塗」の技法が伝わり、これは新潟漆器を代表する塗りのひとつです。さらに大正、昭和、平成へと時代が下っても、漆器は新潟市の特産品として現在に至っています。

伝統技術と新しい生活スタイルが融合した漆器作品

新潟漆器は椀や盆といった昔ながらの日用品のみならず、先人の技術を継承しつつ、漆本来の持つ良さを活かしながら、文房具やアクセサリー、インテリアほか、新たな商品に用いられています。伝統的工芸品に新たな息吹を吹き込んだ作品は、洋式に変わった現代人の生活にもしっくりくるところが魅力です。

「湊町」という地の利を生かし、さまざまな文化や技術が融合した工芸品が、新潟県にはまだまだたくさんあります。にいがた就職応援団CAREERでは、これからも新潟県内の情報を幅広く発信していきます。