重要無形文化財に指定される逸品

新潟県魚沼地方の特産物として古くから生産される小千谷縮と越後上布は、日本を代表する麻織物の最高級品として有名です。 1955年に国の重要無形文化財に指定され、2009年にはユネスコの無形文化遺産保護条約にも登録されたことで世界的にも注目されるようになりました。 平織りの麻織物の表面にしぼと呼ばれる凹凸の縮があるのが小千谷縮の特徴で、越後上布はその縮の無い平織りの織物です。肌に優しく通気性にも優れた仕上がりとその品質の良さから、かつて上杉謙信が時の朝廷への献上品として越後上布を送ったとも言われています。

5つの製作工程

越後上布の製作工程は60以上あり、まずは青苧(あおそ)作りから始まります。原料となる苧麻(ちょま)を繊維だけにして乾燥させると青苧になります。 これを細かく裂いて、より合わせて糸を績む「苧績み(手績み)」、絣の染色を施す「絣作り(手くびり)」、機に掛けて独自の手法で製織する「いざり機」などの工程を経て、仕上げに織り上げた布から糊や汚れを落とし布目を詰める「足ぶみ」か、またはぬるま湯に漬けてしぼを作る「湯もみ」の作業を行います。最後に、雪の上に広げる「雪ざらし」で天然の漂白をすれば完成です。 このように大変手間のかかる作業のため、績まれる糸の量は慣れた人でも1日5~6g、織られる量は1日15~20cm程度となります。2015年に生産された越後上布は30反、小千谷縮は3反でした。 重要無形文化財の指定要件として、前に挙げた5行程すべてを経ていること、という厳しい条件が存在するため年間生産量が限られてしまうのです。

現在では生産されない種類も…

重要無形文化財に指定されたものの他に、経糸に機械紡績の麻糸を使用した「小千谷縮寿(ことぶき)」や「古代越後上布」など機械紡績糸で織り上げた製品もあります。 また、作業がさらに細かい亀甲柄の越後上布もかつて生産されていましたが、残念ながら現在は無くなってしまいました。