にいがたトリビア
信玄餅VS出陣餅 和菓子界の川中島の戦い勃発!?

「信玄餅」と「出陣餅」
「信玄餅」を知っていますか?
きな粉と黒蜜をかけて食べる山梨県発祥の餅菓子ですが、実はこれによく似たもので、上杉謙信の故郷・上越市から生まれた「出陣餅」という餅もあります。
いずれも個包装で、風呂敷をイメージさせるビニールで包まれ、結び目に楊枝を挟むなど、パッケージの様式だけを見るととても似ています。ですが両者には違いがあります。「信玄餅」と「出陣餅」、それぞれの由来や特徴を見ていきましょう。
信玄餅
信玄餅は、求肥加工した餅にきな粉と黒蜜をかけて食べます。
発祥のエピソードは2つあり、1つは戦国の大名・武田信玄が、戦の時に非常食として砂糖入りの餅を持っていたことから作られたという話。もう1つは地元でお盆に食べる安倍川餅をヒントに作られた、という話です。昭和43年に山梨県の和菓子屋・桔梗屋が販売を始めました。
出陣餅
出陣餅はよもぎ味の餅にきな粉と黒蜜をかけて食べます。信玄餅との違いは、餅が「求肥」か「よもぎ味の餅」かという点です。
かつて上越で活躍した名将・上杉謙信は、戦の時に兵士に餅を食べさせて英気を養ったと言われています。この逸話にちなんで新潟県上越市のかなざわ総本舗が昭和44年に販売を始めたのが「出陣餅」だそうです。
史実から銘菓へ
信玄餅の方が名前を耳にすることが多いという方もいらっしゃると思いますが、販売開始時期は同じ頃のようですね。
ちなみに信玄餅は初めから個包装で販売していたのではなく、安倍川餅のように大きな切り餅を求肥加工したものにきな粉と黒蜜をまぶして売られていたそうで、現在のようなパッケージに変わったのはお土産として定着してからなのだとか。
他にも上杉謙信にまつわる銘菓としては、「敵に塩を送る」という有名なエピソードから生まれた「情けの塩最中」があります。こちらは塩カマス(塩などを入れるためのわらむしろの袋)をかたどった最中で、あんこと餅が入ったお菓子です。出陣餅と同様、かなざわ総本舗の人気商品の1つとしてラインナップされています。
お取り寄せで歴史を味わう
ここまでの紹介で、思わず食べたくなった方もいらっしゃるのでないでしょうか。
今回紹介した菓子は通販で購入することもできますので、史実はもちろん、作られた土地やお菓子の歴史も感じつつ、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。