数々の景勝地が点在。武家屋敷が訪問者を江戸時代に誘う

2008年、村上市、荒川町、神林村、朝日村、山北町の1市2町2村合併により生まれた村上市は新潟県の最北部に位置しています。

村上市の大きな特徴は、かつて同地に存在した江戸初期の城下町を今も見ることにあります。というのも、旧幕府軍として戊辰戦争に参加した村上藩は1868年、新政府軍との戦いで村上城は落城したものの、城下での戦闘が行われなかったために城下町の町並みはそのままの形で残されたからです。

村上の城下町は、城下町の四大要素である城跡・武家屋敷・町屋・寺町を今も有する稀有なものとして、2008年、国土交通省が表彰する都市景観大賞「美しいまちなみ賞」で大賞を受賞しました。村上市を代表する観光地として、今も多くの人が訪れています。

かつての城下町を甦らせた村上住民の熱意

優れた景観が評価されてきた村上市ですが、1990年代当時の姿に目を向けると、町屋自体の近代化、郊外型の大型店進出などで、活気を失いかけていました。その現状を鑑みて、「町屋の価値を知り、町屋を公開することでまちの活性化につなげる」ことを目指し、行政に頼らない、住民主導の町おこしプロジェクトが立ち上がったのです。

まず、1998年に「村上町屋商人会」が結成され、町屋内部の無料公開が行われました。さらに2000年からは村上の各家が代々受け継いできた、思い出や願いが詰まった人形たちを公開する「町屋の人形さま巡り」がスタートします。またブロック塀を黒く塗った板で黒塀に変える「黒塀プロジェクト」などにより、次第に観光客が増えていきました。2004年には、町屋の外観を昔ながらに再生する「町屋再生プロジェクト」を結成し、再生にかかる経費を全国の人に呼びかけ基金を募りました。全国に例を見ない大規模なプロジェクトは功を奏し、10軒を超える町屋が再生されています。

村上城下町のみどころを一部、ここで紹介してみます。

・村上城跡:臥牛山(がぎゅうさん)山頂、標高135mにある村上藩主の居城跡です。戦国時代に築かれた堅堀(たてぼり)や虎口(こぐち)、江戸時代の石垣などが残っており、いろいろな時代の遺構が混在する姿が貴重であることから、1993年には国指定史跡に指定されています。

・重要文化財 若林家住宅:村上藩で物頭役150石を勤めた中級武士・若林家の屋敷です。曲屋(まがりや)造りの茅葺平屋建てで、部屋割りも細かく、日本海側では珍しい典型的な中級武家住宅の遺構として、1977年には国の重要文化財に指定されています。建築年代は1800年前後と推定されており、庭園では四季折々の風景も楽しめます。

・遠壽山(おんじゅさん) 長法寺:1592年、善住院日遥上人(ぜんじゅういんにちようじょうにん)によって開基した日蓮宗の寺院です。元は猿沢(朝日地区)にあったと伝えられています。ご本尊は釈迦如来で法華経の真実義(しんじつぎ)を証明するために地より湧出した多宝如来、子どもの養育を助け、法華経を弘める行者を守護する鬼子母神をお祀りしています。なお、本堂に用いられている柱材などは、1800年代半ば、村上城の居館を解体、再建したときに払い下げられたものだと伝えられています。

住民パワーが歴史や文化を支え、町おこしを成功に導く

村上市がかつての城下町として甦ったのは、住民のパワーがあったからこそです。今では新潟県を代表する観光地となり、その町おこしプロジェクトと共に注目を浴びる場所となっています。にいがた就職応援団CAREERでは、地元に密着してさまざまな取り組みを紹介し、今後とも新潟県の魅力を伝えていきます。