「使い切る文化」を今に伝える「わら細工」

東京オリンピック、大阪万博の開催決定を機に、自国の文化を再認識する人が少なくないそうです。加えて日本に興味を持ち、訪日する外国人も増えていることも手伝って、「昔から作られ、使われてきた工芸品」にスポットが当たっています。 かつての日本人はさまざまなものを「使い切る」生活をしていました。たとえば、大人用の着物を一枚買うと、以下のような流れで使い切り、最後まで利用したのです。 ・古くなったら子ども用に作り直す ・おしめに使う ・雑巾にする ・焚き付けとして使う ・灰を洗濯や肥料に用いる 着物と同じように、日本人は稲や麦を収穫したあと、茎を乾かして作る「わら」を有効利用していました。加工が簡単で水に強く、クッション性や保温性を有するわらは、草履やわらじに用いられてきたほか、雪国では雪ぐつや深ぐつの材料に用いられます。さらに簑・スゲ笠・鍋敷き・米俵ほかさまざまな必需品の材料となり、日本人の暮らしに深く根付いています。 そのような背景から、いま「わらの魅力」にスポットが当たっています。

「わらの魅力」を伝える新潟県の民芸品

土産店では国民的ドラマ『おしん』を思わせる「ミニわらぐつ」といったミニチュアマスコットやアクセサリー、お土産用の草履・わらじ・鍋敷きなどが販売されています。当時を懐かしむ世代はもちろん、珍しい品ということで若い世代も惹きつけているようです。 また、わらを材料とする実用品としては、以下のようなものが挙げられます。 ・卵苞(たまつと):貴重な食べ物だった「たまご」を割ることなく安全に運ぶ入れ物として作られたわら製の専用ケース。派生製品としてワインを運ぶケースなどもある。 ・猫ちぐら:元は赤ちゃん用のゆりかごだった「ちぐら」を猫のペットハウスに改良したもの。冬は暖かく夏は快適で、愛猫家に人気を博している。「犬ちぐら」もあり。

「わらの魅力」を見て楽しむ・触れて楽しむイベントや体験学習も

新潟県では、わらにまつわる多数のイベントや体験学習が実施されています。以下のようなイベントや体験学習を通じて、わらの持つ素材としてのポテンシャルが今も受け継がれています。 ・わらアートまつり:新潟県新潟市西蒲区の「上堰潟公園」に稲わらで作ったオブジェ(わらアート)を制作・展示するイベント(例年8月末~10月末に開催)。同時に地域の特産物販売、わら工芸品作り体験、歌や踊りなどを発表するステージが開催される。 ・体験学習:農と縄文の体験実習館「なじょもん」(新潟県中魚沼郡津南町)では、わらの会によるわら草履やしめ縄を作る体験教室が行われている(通年実施※)。 ※参考:なじょもん 主な体験実習一覧

「わら」から見えてくる日本の原風景をこれからも伝えるために

稲わらは神事や季節行事における「しめ縄」や「正月飾り」などの制作に欠かせません。それに加えてストラップやアクセサリー、アートの素材といったユニークなアイデアにより新しい価値を提供しています。 温かみや懐かしさを有する「わら」の工芸品や民芸品は、これからも日本の原風景を伝える文化として受け継がれていくことでしょう。